緑色のかべ
工事が完了し、引渡も完了した物件で外壁のキシラデコール塗装が緑色になった。
これをみた鉄骨業者は昔の防腐処理のようだと言った。
外構工事はいまだ手付かずである。
ここには沢山の問題がある。
言わずもがなだ。
緑色の壁というのは非常に魅力的でもあった。
杉板のそのままの表情、色と合うようにガルバリウムの色やサッシの色を調整していたのでそこに急に緑色が入ってきてしまうとややバランスが崩れてしまうことは承知だが、自分ではやらない、怖くてできない発送であったので流れに身を任せてみた。
結果として、ちぐはぐな印象が目立ってしまったがこれもこれで良いのだと思う。
圧倒的な推進力をもってデザインをリードして、それを求めているお施主さんが従ってついてくるという旧時代的な考えではない。
いまとなってはデザイナーとお施主さんとの間の技術的な距離も縮まってきているし、目指す方向性も似通ってきている感じがする。
そんな時代に、緑色の壁にしたいといってくれるお施主さんに出会えたのは素晴らしい機会と経験であった。
自分の至らなかった点は、緑色の壁になることを見越して全体の調整を図れなかったことだろう。
そして、お施主さんから初期段階で緑色の壁のイメージを引き出せなかったことだろう。
負ける建築(読んでいない)的な感じで(読んでいないから想像に過ぎない)色のついていない透明な自分のまま、人に巻き込まれて面白くてかっこいいものをつくっていきたい。