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迎賓館(旧トンキン理事長官官邸)

ホテルメトロポールの向かいに建つ迎賓館。

プロポーション、シンメトリー、各種装飾、アプローチ、どれをとっても非常に優雅で美しい建築だった。

中央のマンサード屋根によって厳格すぎる立面を和らげているのかもしれない。この屋根裏は南北方向を向いており、正面のファサードには窓が現れないのも優雅さの一つかもしれない。

正面ポーチの造形は様式建築からアール・ヌーヴォーへと移り変わっていく時期に建てられたことを示しているそうだが、確かにパリのメトロの入り口のような鉄とガラスのデザインは目を引くし、この建築を特徴づけている。

本を読むまで気づかなかったが、正面上部に位置するメダイヨンは空白のままだ。東京の国会議事堂のメダイヨンも空白だった、という授業を受けたのを思い出した。西洋の建築様式を取り入れてみたはいいものの、象徴となる記号を持っていなかった為にメダイヨンを空白のままにした、という内容だったと思う。この建物は植民地時代に北部ベトナム(トンキン)を治める理事長官の官邸だったのだから、それなりの記号はありそうなものだが、これももしかすると維持管理や修復の際にいつの間にか記号を消し去ったのかもしれない。

外壁の色はその他のハノイの黄色い建築に比べるとかなり落ち着いたクリーム色で、それも優雅さの理由かもしれない。ただし、基壇部分はボテッとした茶色と薄茶色に塗り分けられており、それは残念な点だった。

ここに来たときに驚いたと言うか感心したのはこんな重要な政府機関の建物かつ地価の高い(そうな)エリアにも関わらず、建物手前の歩道には常設の白線が引かれ、人々がバドミントンができるようになっているることだ。ちょうど自分が写真を撮っているときにバドミントンの網を張ろうとしている人たちがいた。

考えてみると、官庁街の歩道は一般的な市街地に比べて非常に幅が広く、そこに生活している人や店も少ないためバイクも停まっていない。なので多くの建物の前でバドミントンや蹴鞠みたいなスポーツをしている人たちがいる。日本では考えられないことだが、そのあたりのおおらかさや、インスタント性について今後もう少し事例を集めて考えを深めていこう。

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