Flamingo Resort Dai Lai

27.10.2019

事務所のボスの代わりにFlamingo Resort Dai Lai のArt in The Forestの5周年記念パーティーに参加してきた。

ベトナムではイベントをするのが好きなようで、ショッピングモールや路面店の家電製品屋、携帯ショップ、ビアホイなどでも頻繁にイベントを行っている。

爆音で音楽を流しながらプロの美人司会者みたいなひとが司会進行をしてスタッフやバイトの盛り上げ要員やちょっとセクシーなコンパニオンがわんさかいる。今までの経験上お客と運営側の人口比率は半分半分か、運営側のほうが多いように感じる。繰り返すが、とにかく何もかもが爆音だ。

 

さてArt in The Forest だが、これはハノイから50kmくらいのところにあるFlamingo Resortの広大な敷地内に美術作品を展示しているもので箱根の彫刻の森美術館を思い浮かべればほぼ同じといえる。

ハノイには美術館や博物館がたくさんあるが、現代美術関連のものはほとんどといって無い。

それは社会主義の影響をうけているからだとか。

翻ってArt in The Forestでは国内外の現代彫刻や絵画作品が100点以上展示されている。制作風景の動画を見て思ったのだが、まちなかでも路上で職人が(だいたいは職人に見えないただのチェーンスモーカーのおっさん)金属や木材を切断したり溶接したりしているので巨大な彫刻作品を作るのも案外簡単にできるのかもしれない。各作品のディテールまでじっくり見る時間はなかったが、屋外に設置する芸術作品としての十分な強度やクオリティは担保されているようだった。というよりかなり高いレベルですべてが実現していた。

そして作品の多くがベトナム人作家によるもので、これだけの土壌があることを知らなかったので今後アート界隈の見取り図を誰かに教えてもらうか勉強したいと思った。

 

 

このFlamingo Resortは10数年以上前からあるそうで、初期の(と思われる)ものがVTNによるBamboo Wing、そしてその後に出来たDai Lai Conference Hallで建築業界では有名な作品だ。

 

Bamboo Wingに関しては最近南部にあるWind and Water Cafeとハノイ近郊のRoc Von Restaurantに行く機会があったのでそれらと良い比較ができた。

WaWはVTNのデビュー作で、2006年の竣工以来小さな改修が行われてきたそうだが、2019年に訪れた時点では当初の設計がそのまま残っており、そこに月日が経って大きく育った木々が更に空間を豊かにしていた。これほどまでに気持ちの良いカフェは人生で初めて体験したと言っても過言ではない。

 

 

 

一方、Roc Von Restaurantは2015年竣工でいろいろな賞をとっているらしいが、事務所の旅行で訪れた際はそれがVTNの作品であることすら気づかなかった。VTNの作品として個人的にかなり高く評価していた作品だけに現実世界では全くもって別物になってしまっていることには驚きというよりも建築家のエゴの因果というか施主とのコミュニケーション不全を感じ、建築家に対する信頼というか社会と建築家との溝に落胆と怒りを覚えた。具体的に言うと、竣工写真では見事に壁がない、WaWからの軌跡にのる形で更に規模が大きく(特に高さ方向)デザインされた、半屋外空間バンザイ建築だったのだが、今日では四方を壁で囲まれた、竹でカバーされた鉄骨構造の普通の室内空間になっていた。

そもそもここはカフェではなくビアホイに近いレストランだそうで、東側の池に対して大きく開いているいるがゆえに午前中の日射がきつく、商売にならないこと、西側のロードサイド側も西日(及びおそらく交通の騒音と排ガス)の影響で壁を建てざるを得なくなり、施主が勝手に別の設計者(施工者?)に頼んでいつの間にか(竣工後すぐらしいが)こんな姿になっていたとのこと。

WaWをみた施主が「こんな感じで!」といってそのまま設計したら「こんなんじゃ商売にならんわ!」となってしまったのか、本当のところはわからないが、とにかくとんでもないコミュニケーション不全であることは明らかだった。

 

 

ベトナムに来てから建築家の立ち位置とか社会からの期待とかが日本で仕事していたときに感じていたものと良い意味で全く違うことに戸惑いながらも感動までしていただけにこのような失敗例はかなり印象に残る。日本では施主や施工会社との折衝をしてベターなものを作り出すことが建築家の職能(自分の職能)だと思っていたのだが、こちらではまずデザイナーとしての建築家の考えやデザインが最も重要視され、敬意を払われるし、その分の責任も強く感じる。日本にいたときは自分が建築、建設、不動産業界の上流にならない限りこうした問題は解決されないとおもっていたが、人を動かすデザインがあればそういうことは二の次になるのだ、と希望の光が見えてきていた。

とはいえこうした失敗事例を目の当たりにして、自分の持つ調整能力を発揮することでより良い(ベターという意味ではないし、ベストがワーストに転じることのないという意味で)ベスト・オブ・ベストのデザインが出来るようになろう、と決意したのであった。

 

枕詞が長くなりすぎたが、Bamboo Wingは竣工が2009年で10年前の建築だがWaWと同様に素晴らしい使われ方と育ち方をしていた。水、木々、段差、屋根の複層のレイヤーによって奥行きと影を作り出し、完全なる屋外空間であるのにもかかわらず素晴らしい心地よさを提供していた。食事をする時間はなかったが、ここで食事をしたらきっと素敵な時間を過ごすことが出来ることだろう。

前面道路からは手前に巨大な丘があるのでこの竹の建築は全く見えない。そしてこの巨大な丘の下部にはカラオケルームやトイレ、バックヤードなどが収まっているので、竹の建築自体は純粋な形を保つことが出来ている。竹の建築の先には池が広がり、サイドはこれまた人工のマウントで周囲からの視線を自然に遮っている。ゴルフコースのようだな、なんて思ったが実際建築家はゴルフコースからランドスケープについて多くのことを学ぶことが出来るだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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