テト
ベトナムはテトを迎え、すっかり正月気分だ。
友達や大家さんに気を使ってもらってからかってもらっているが、基本的には一人きりなので省エネ寝正月を過ごしている。
街から一切の人と活気、そして音までもが消え去ってしまった今朝の通りはなかなか見事だった。
昨晩のお祭り騒ぎと朝まで続くパゴダへの礼拝、自転車で走り去るときにかいだ姿は見えないけど近くにあったであろうパゴダからの線香の香り。家先や店先においた茹でた鶏肉にバラを咥えさせた飾りに向かって熱心に祈る人たち。
大晦日までの2週間くらいはもうずっと年末ムードが漂っていて、道では金柑や桃の木が売られ、旧市街の市場には紙の飾り物がずらりと並ぶ。
子供用に金色のかわいい顔をしたネズミの風船の束を売る人達の姿はまるでテンポラリーな街路樹のよう。
宗教とは異なる民間信仰を大切にしている。
何かを信じたりなにかにすがることは良くないことだと漠然と思ってきたが、ゆるく、しかし熱心に伝統を積み重ね、継承してきた人たちの姿はとても美しいものに見えた。