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虚、熱、夢、弱、

夏休み、ということで(フリーターは毎日夏休みのようなものだが)大学での研究調査旅行に同行してきた。行き先は中国は重慶。広い中国といえど特別市に指定されているのは北京、上海、天津と重慶の4つだけ。そんな、中国の未来がかかっているような都市に行ってきた。

四川の東側、広大な盆地の入口のような立地で、昔からシルクロードの通り道として栄えてきた歴史がある。今回はその地で独自の発展を遂げた吊脚楼という建築様式の研究の為、現地調査を行ってきた。

が、オリジナルの吊脚楼はもはや跡形もなく、現代化された吊脚楼は超高速で発展する都市のなかにあって、その開発に取り残されたスラムと化していた。現地で資料収集やヒアリングを行うと、もともとの発生起源がスラム的なものであったことなどがわかり、研究の方向性は二転三転していった。

ここで、何が面白かったかというと、写真にあるようにスラム的なものと超高層のマンハッタンのような建物群が同じ風景の中にはっきりと現れていることだった。(非常にベタな見解ではあるが)こういった風景が現在進行形で見られるのはなかなか無いのではないだろうか。

都市の発展のスピードと人間の生活、そしてデザインが全く追い付いていないとどういうことがおこるのか、という教科書のような場所で、北京にあるザハの建築の完コピや擬マリオ・ボッタ建築や似非マリーナ・ベイなど良識無き行為の氾濫は枚挙にいとまがない。

昨年の調査で香港に訪れた時もそうであったが、東京の過密都市とは比べ物にならないスケールで様々なものが成立しており、それはまさにブレードランナーの世界であった。

そういう真面目な話はさておき、重慶滞在中に謎の発熱と謎の湿疹が出て、つらい日々を送っていた。

帰国後病院に行くと手足口病と診断された。そう、あの幼児がかかる病気である。

なんとも恥ずかしかったがとにかくここのところ衰弱していて何をしてもすぐ疲れるしすぐに風邪をひいてしまう。ここ二ヶ月くらい体調万全な日が一日も無い気がする。

先月のことだが高熱を出して寝込んでいた時、様々な夢を見た。大学一年生くらいの時から二年間ほど夢日記をつけていたので自分が見る夢には結構敏感な方だと思っている。とは言え、毎朝こんなにつまらない夢をみている自分は本当につまらない人間だ、と落ち込んでいたものだ。そんな僕が発熱中に見た夢はなかなかスリリングなものだった。

ジョコビッチとテニスのトーナメントで戦って引き分けたり、ものすごく残忍な殺し方をする見たことのない姿形の海の中の怪物と闘ったり、耳が遠くなって世界が他人ごとになったり、そこらじゅうで怒りまくっているうちにメンヘラになったり、盆踊りで櫓にいるボスを倒すチームスポーツに参加していたり、色々あった。

そういうものを一晩のうちに複数も見てしまうのだから自分でも感心した。発熱して寝込んでいるのも悪く無いと思った。

夢とは少し違うが、白昼夢とも違う、何かこう、悲観的な未来を想像してそれにとりつかれることが誰しもあると思う。僕は中学生くらいの頃から自分の子供がイレイザーヘッドの赤ん坊のようなもの(ちょっと言い過ぎ)になる気がしてならない。はたまた、自分の肌が溶融していくように白く、あるいは変色していく気もしている。それから現実的な話でもあるが、みるも無残なホームレスになっていることも想像しているし、その上無残な死を遂げて、しかもそれが誰にもわからないで忘れ去られてしまうような気もしている。そしてこれらすべてが現実に起きることなんだろうと半分くらいは信じている。

が、冷静になってこれらがすべて現実になったらお笑い番組でネタにされるくらい世界一不幸な人間じゃないか、と思っていた。

はっはっは

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